「コーヒーは農作物」

よく聴くフレーズで、頭では理解しているけど、あまり実感したことがなかった。 畑で栽培されているから農作物なのではなく、農作物と紹介される所以は「毎年変わる気候/天候の中で、より良いものを作ろう!と人が 知恵を絞り 手間を惜しまず 作った作物」であるから。 だから、残念ながら出来の悪い年もある。

気に入っていた農園の豆の品質が下がった。
直接の原因はわからないが、お客様に販売するのを躊躇(ためら)うレベル。 たまたまかも知れないので、別のロットも試してみたけど、結果は同じ。 今年は扱うのを止めることにしました。

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いろいろと代替え商品を考えていたところ、新しい農園の存在を知ることができました。 焙煎してみると、産地の特徴がクリアに伝わる素晴らしい品質。 今年はコレで行きます♪


ホテルで仕入担当をしていた時もそうだったが「品質の悪いものをお客様にご提供するわけにはいかない」という信念は、提供者としては絶対である。 しかし、それまでの「付合い」というのか「取引」というのか「共に築いてきた関係」がある。 農作物なら、生産者の顔が浮かんでくる。 そういう人情的なモノに流されずに「ダメなものは仕入れない」と判断できるかは、ホテルに限らず仕入/購買担当者の求められる資質なのです。 ハッキリ言って非情です。 そこでバイヤーの資質が問われる。  もしも人情的な部分を大切にするのであれば、「面と向かってダメな理由を伝える」「改善策みたいなものも伝える」「その後もその商品の品質をモニターする」とういうコトを意識して行えば、築いた関係まで終わってしまうコトはありません。


生豆で不足している品質を、焙煎で補えるモノではありません。 焙煎の本とかには「生豆の個性を引き出す」的な表現をよく目にしますが、「生豆の欠点を補う」という表現は見たコトがありません。
抽出の時は、欠点を目立たなくするテクニックがないわけではないです。 いずれにしても「高みに昇る」のではなく「マイナス部分を目立たなくする」という行為ですので、お客様に対しての誠実さ...は薄れる印象です。


叶うことなら南米の農園まで行って、「何があった?」と聞きたいくらいです。 しかし、僕らの仕入れ量がなくなったくらいで、その農園の経営が崩れることはないでしょう。 もちろん、豆の品質ではなく「僕らの感じ方が変化した」という可能性もゼロではありませんけどね。 また来年、この農園のものを仕入れたいと思います。


コーヒーというのは、どこか「毎年品質が安定している」と思い込んでいたのです。 とても良い経験になりました。


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